「大事なパットの場面で、手が震えてしまう…。」

そんな経験はありませんか?
ショートパットが怖くなったり、ロングパットの距離感が合わなくなったりする「パターイップス」は、ゴルファーにとって深刻な問題です。
特に「なぜか手が震えてしまう」「どんなに練習しても試合で入らない」と悩んでいる人は少なくありません。パターイップスの原因は、単なるメンタルの問題ではなく、グリップの握り方やストロークの仕方にも影響を受けています。
この記事では、
この記事でわかること
- パターイップスの原因とは?
- グリップやパター選びで改善できる?
- イップスを防ぐための練習法とは?
といったポイントを詳しく解説します。

「もうパターで悩みたくない!」という方は、ぜひ最後まで読んで、実践してみてください。
パターイップスとは何か?

ゴルフにおいて、パターはスコアを決める最も繊細なショットのひとつ。しかし、「いつものようにストロークできない」「手が震えてカップを外してしまう」といった現象に悩むゴルファーは少なくありません。これは単なるミスではなく、多くの場合「パターイップス」と呼ばれる状態です。
パターイップスの定義とは?
パターイップス(Putter Yips)とは
1メートルのパット。「いつもなら入る距離なのに…」と思って打とうとすると、なぜか手が震える、パターが変な方向に動く、力加減が急におかしくなる──そんな状態のこと。

具体的には、手が震える、ストロークのタイミングが狂う、インパクト時に極端な力みが入るなど、さまざまな形で現れます。
一般的にイップスは、神経系の問題とされており、一度発症すると意識すればするほど悪化することが多いのが特徴です。心理的なプレッシャーや、無意識の「ミスしたくない」という思いが、身体の動きに悪影響を及ぼすのです。
パターイップスは特定の技術やスイングの問題ではなく、ゴルファーの「思考」と「動作」が複雑に絡み合った結果として発生します。
パターイップスの症状と影響
パターイップスの症状はゴルファーによって異なりますが、主に以下のような現象が見られます。
症状と影響
- ストローク時に手や腕が震える
- インパクトの瞬間に極端な力みが入る
- 意図しない方向にフェースが開いたり閉じたりする
- ストロークのリズムが崩れ、スムーズに振れない
- ショートパットが極端に苦手になる
特に深刻なのは、「ショートパットが入らなくなる」ことです。これはゴルファーのスコアに直結する問題であり、イップスを発症したプレイヤーの多くが、1m以内のパットすら決められなくなる場合もあります。
また、パターイップスは精神的なストレスを増幅させるため、ラウンド中の自信を喪失し、全体的なプレーの質が低下する要因にもなります。

「パターに対する恐怖心」が芽生え、楽しむはずのゴルフが苦痛へと変わってしまうことも...スランプ状態。
パターイップスの原因(グリップ・スイング・ストローク)
パターイップスの主な原因として、以下の3つの要素が挙げられます。
1. グリップの問題
- 通常のグリップが手首の余計な動きを誘発してしまう
- グリッププレッシャー(握る強さ)が一定でない
- 「引っかけたくない」「押し出したくない」という意識が強すぎて、不自然な握り方になる

イップスが発症すると、ゴルファーは無意識にパターを強く握りがちです。しかし、力みすぎたグリップはスムーズなストロークを妨げ、余計にミスを生む悪循環を生みます。
2. スイングの問題
- ストローク軌道が安定せず、フェースが開閉しやすい
- 腕や手首を主体としたスイングになっている
- フォローを出そうと意識しすぎるあまり、インパクトで止まってしまう

パターイップスの多くは、腕や手首の動きが過度に影響していることが原因です。本来、パッティングは肩の動きで行うべきですが、イップスに陥ると手先のコントロールが強くなり、微妙な狂いが生じます。
3. ストロークの問題
- 「ミスしたくない」と思うほど、ストロークがぎこちなくなる
- インパクトの瞬間にフェースを合わせようとしすぎる
- 距離感が極端に狂う

イップスに陥ると、ゴルファーは無意識に「しっかり打たなければ」と意識してしまい、結果的にスムーズなストロークができなくなります。その結果、短いパットを引っ掛けたり、押し出したりするミスが増えるのです。
パターイップスは病気なのか?
パターイップスは、単なる技術的な問題ではなく、一種の神経系の異常ともいわれています。特に、医学的には「フォーカル・ジストニア」と呼ばれる症状と関連があるとされています。これは、特定の動作を繰り返し行うことで、脳の運動制御に異常が生じる神経疾患の一種です。
ジストニアの症状は、手や足、首や体幹など様々な箇所に発症しますが、その原因は脳からの指令の異常にあります。
つまり、ジストニアは脳の病気なのです。東京女子医科大学脳神経外科より引用

例えば、ピアニストや外科医など、繊細な指先の動きを求められる職業の人々にも「ジストニア」が発症することがあります。
ゴルフにおけるイップスも同様に、過剰な緊張や反復運動によって、脳が意図しない動作を引き起こす現象と考えられています。
パターイップスとは、単なる技術的な問題ではなく、ゴルファーの心理・神経・動作が絡み合った複雑な現象です。特に、「手が震える」「ショートパットが入らない」といった症状は、多くのゴルファーに共通する悩みです。
パターイップスの克服法と改善策

パターイップスを克服するためには、ただ「練習を増やす」「メンタルを強くする」といった曖昧な方法ではなく、具体的な技術的アプローチを取ることが重要です。
多くのプロゴルファーやアマチュアがイップスを乗り越えるために試行錯誤してきた方法の中には、グリップの見直し、パターの種類を変える、ストロークの方法を調整するといった実践的な手法が存在します。
グリップの見直し(通常グリップ vs クローグリップ)
パターイップスの原因のひとつに、「手首の余計な動き」があります。この動きを抑えるために、グリップを見直すことは非常に有効な対策です。
通常グリップ(オーバーラッピング・逆オーバーラッピング)
- 最も一般的なグリップスタイル
- 手のフィット感が良く、自然なストロークが可能
- ただし、手首の動きが入るとイップスを助長することも
クローグリップ
- 左手を通常の位置に、右手を指先で軽く握るスタイル
- 手首の動きを最小限に抑えられるため、イップスに効果的
- パターのフェースをスクエアに保ちやすい
- 初めは違和感があるが、慣れると安定したストロークが可能

イップスの症状が強い人は、クローグリップを試してみる価値が大いにあるでしょう。特にショートパットの安定性を高める効果が期待できます。
センターシャフトパターはイップス克服に有効?
通常のパターは、シャフトがヒール寄りについています。しかし、センターシャフトパターはヘッドの中央にシャフトが装着されており、これがイップス克服に有効とされています。
センターシャフトパターのメリット
- ストロークがまっすぐになりやすい(フェースローテーションが少なくなる)
- フェースの芯で打ちやすい(打点のブレが減る)
- 手首の動きを抑えやすい(イップスの原因を軽減)
センターシャフトパターは、ストロークが安定しやすいため、「引っかけ」「押し出し」といったミスを防ぐのに効果的です。ただし、通常のパターよりも「構えたときに違和感がある」ゴルファーもいるため、試し打ちをしてフィーリングを確認するのが良いでしょう。
ロングパットイップスとショートパットイップスの違いと対策
パターイップスには、大きく分けて 「ロングパットイップス」 と 「ショートパットイップス」 の2種類があります。
1. ロングパットイップス
主な症状:
- 距離感がまったく合わなくなる
- 極端に弱く打ってしまう、または強く打ちすぎる
- スムーズなストロークができない
対策:
- 肩を使ったスムーズなストロークを意識する
- 「リズム」に重点を置く(振り幅で距離をコントロール)
- フェースバランスの良いパターを使う
2. ショートパットイップス
主な症状:
- 1m以内のパットが決まらない
- フェースが急に開いたり閉じたりする
- ストロークが途中で止まる
対策:
- クローグリップを試す(手首の動きを抑える)
- センターシャフトパターを活用する(ストロークをシンプルに)
- プレショットルーティンを確立する(毎回同じ動作をする)

ロングパットとショートパットでは、イップスの原因が異なります。それぞれの特徴を理解し、適切な対策を取ることが克服のカギとなります。
長尺パターや太いグリップの活用法
パターイップスを克服するための選択肢として、長尺パターや太いグリップを活用する方法もあります。
パターイップスを克服するための選択肢
- 長尺パター(ベリーパター、アームロックパター)
- 通常のパターよりも長いため、手首の動きを抑えられる
- 腹や腕に固定することで、ストロークが安定
- 特にショートパットに不安があるゴルファーに向いている
- 太いグリップ
- 手首の余計な動きを制御し、ストロークを安定させる
- 握る力が分散され、力みを抑えやすい
- パターイップスの初期症状を抑える効果も期待できる

パターイップスに悩む多くのゴルファーが、長尺パターや太いグリップに変更することで改善した例が多数報告されています。道具を変えるだけで症状が軽減する可能性があるため、一度試してみる価値は十分にあります。
パターイップスの克服には、「正しい道具選び」「適切なグリップとストローク」「自分に合ったパターの種類」が重要です。どんなに練習しても改善しない場合は、これらの方法を積極的に試してみてください。
パターイップスを防ぐためにできること

パターイップスは、いったん克服しても再発する可能性があります。そのため、イップスを発症しないための予防策を日頃から意識することが重要です。

ゴルフは「再現性」が求められるスポーツ。特にパターは、1打のミスがスコアに大きく影響を与えるため、安定したストロークを維持し続けることが最優先となります。
ストロークの安定性を高める練習方法
パターイップスの予防には、「ストロークの安定性」が欠かせません。日頃から 手先の無駄な動きを排除し、肩の動きでストロークできるようにする 練習を取り入れましょう。
1. ペンデュラム(振り子)ストロークの練習
振り子のように、肩を支点にしてストロークを行う練習です。
- 両脇にタオルを挟んでストローク(手首の動きを抑える)
- パターを両手で握り、左手だけでストロークを確認(右手の無駄な動きをチェック)
- 一定のテンポでストロークする(リズムを意識する)
2. 片手パット練習(右手・左手それぞれで打つ)
片手でパターを振ることで、手の動きが正しいかどうかを確認できます。
- 左手一本でストロークする(手首を使わずに安定させる)
- 右手一本でストロークする(インパクトの感覚をつかむ)
この練習を繰り返すことで、両手で打つときのストロークが安定しやすくなります。
3. 距離感を鍛える練習
パターイップスの原因の一つに「距離感の狂い」があります。これを防ぐために、目を閉じたままパットする「ブラインドパット」を試してみましょう。
- 目を閉じて、感覚だけでストロークする(フィーリングを養う)
- ボールを打った後に、カップに届いたかどうかを予測する(距離感を把握)
このようなトレーニングを積み重ねることで、ストロークの安定性が向上し、イップスのリスクを大幅に減らすことができます。
定期的なスイングチェックとパターの選び方
パターのスイングが安定しなくなると、無意識のうちにイップスの兆候が現れることがあります。定期的なスイングチェックを行い、自分のストロークが狂っていないかを確認しましょう。
スイングチェックのポイント
- 自分のストロークを動画で撮影する
- 正面・真上・後方から撮影してチェックする
- ストロークが左右にブレていないか確認
- 手首の動きが入っていないかをチェック
- パターの選び方を見直す
- 「打感が合わない」「構えづらい」と感じたらパターを変える
- センターシャフトパターや長尺パターを試してみる
- 太いグリップに変更して手首の動きを抑える

パターは「フィーリング」が重要です。もし「最近パターがしっくりこない」と感じたら、思い切ってパターを変えるのも一つの選択肢です。
パターが入らない…そんな時に見直すべき3つのポイント
ラウンド中、「なぜか今日はパターが入らない」と感じることは誰にでもあります。そんな時、多くのゴルファーは焦りや不安からスイングを崩してしまい、さらに状況が悪化してしまうことも。しかし、ちょっとした調整で流れを取り戻すことは可能です。
見直すべき3つのポイント
- ストロークのリズムを確認する
- 構えとボールの位置を微調整する
- フェースの向きを意識する
まず最初に見直したいのはストロークのリズム。焦ってしまうと、無意識にテークバックが速くなったり、インパクトが強くなったりします。そんな時は、深呼吸をしてから「1・2・3」と心の中でカウントしながらストロークしてみましょう。テンポが整うだけで、転がりは格段に良くなります。
次にチェックすべきは構えとボールの位置です。目の真下にボールがないと、フェースの向きが狂いやすくなります。少し左足寄りに置いて、視線とヘッドが自然に揃う位置を探してみてください。構えをほんの少し調整するだけでも、転がりの質は大きく変わります。
そして最後に意識したいのがフェースの向きとアライメント。ストローク前に、ボールの後方からターゲットラインをしっかり確認していますか? 自信を持って構えられるかどうかが、ショートパット成功の鍵を握ります。

「入らない…」と感じたときこそ、基本に立ち返るチャンスです。リズム・構え・アライメント。この3つを丁寧に見直すことで、パターの調子は必ず戻ってきます。
パターイップスを防ぐためのルーティンと習慣
パターイップスを防ぐには、「いつも通り」を保つ仕組みをつくることが大切です。その鍵になるのが、ルーティンの徹底と日々の習慣化です。
■ プレショットルーティンは“毎回同じ”が鉄則
- 構え方、素振りの回数、呼吸のタイミングを固定
- 決まった流れが安心感を生み、緊張を抑える
- プレッシャーのかかる場面ほど効果を発揮
ポイント:迷わないために、ルーティンは“無意識でできるレベル”まで体に覚えさせる
■ 毎日のパター練習を“短く・確実に”
- 1日5分でもOK。続けることが大事
- 自宅のパターマットで1mパットを反復
- 「5連続成功で終了」などルールを決めると効果UP
「同じ動き」「同じ時間」「同じ意識」。この“繰り返しの力”こそが、パターイップス最大の予防策です。日常の中にパター練習を組み込み、迷いのないストロークを手に入れましょう。
この章のポイント
- ストロークの安定性を高める練習を行う
- 定期的なスイングチェックを行い、パターの選び方を見直す
- パターが入らない時の調整法を知っておく
- ルーティンを確立し、毎回同じ流れでパットに入る
まとめ

パターイップスは、多くのゴルファーが直面する深刻な課題ですが、正しい知識と適切な対策を実践すれば克服可能です。
まず、イップスの原因を理解し、グリップやストロークの見直し、パターの種類の選定などを行うことが重要です。さらに、ストロークの安定性を高める練習や、定期的なスイングチェック、ルーティンの確立を意識することで、イップスの再発を防ぐことができます。
大切なのは、焦らず自分に合った改善策を見つけること。継続的な努力が、安定したパッティングと自信につながります。今日から実践し、パターイップスを克服しましょう!